【テーマⅢ】森林火災跡地、アブラヤシプランテーションの見学、泥炭湿地林での在来樹種の植林作業

【テーマⅢ】

〇森林火災跡地、アブラヤシプランテーションの見学 ~火災はどうして起きた?アブラヤシプランテーションってどのような環境か?~

(1) 森林火災跡地、アブラヤシプランテーションの見学

ジュルンブンにあるFNPFのロッジ周辺では、2015年の森林火災で焼失した森と燃えなかった森を同時に見ることができる。手前にある消失した森には、燃えて炭の柱となった高木がぽつぽつと立っていて、下草やまだ背丈の低い細い木々が生えているだけである。森が失われたために視界が広がり、野鳥が飛び行く様子や遠くのジャングルまでもがよく観察できる。一望できる自然の風景の美しさが、森の消失によってもたらされたものであることに衝撃を受ける参加者もあった。

しばらく行くとけたたましい鳥の鳴き声がスピーカーから流れてきた。近年東南アジアでは高級食材としてつばめの巣が人気で、それを効率よく回収するための「つばめハウス」がそこかしこで見られるようになった(つばめハウスはコンクリート製の3階建てほどのマンションのような建物で、クマイの町やハラパン村にも見られた)。

見学した農園のアブラヤシは植えた時期が異なるのか、区画によって木々の高さや太さが異なっていた。途中収穫したアブラヤシの実を運び出すトラックと何度かすれ違い、実際に実を手に取ったり、荷台に載せる作業を体験させてもらったりした。また、収穫の手順を説明していただき、大きな鉈のようなもので枝葉を落として房状の実を取る作業や、その時こぼれ落ちた実を拾い集め、リヤカーで運ぶ作業などを体験することもできた。後に実施した地元の方々とのディスカッションでは農作業や農園での勤務形態について学び、それらの作業が明確に分業されていることも知った。

(2)現地の方々と、アブラヤシプランテーションや森林火災についてのディスカッション

夕食後、森林火災跡地やプランテーションの見学を受けて、現地の方々に質問したいことや伝えたいことを発表し、ディスカッションをおこなった。以下はその記録。

  • アブラヤシプランテーションについて、日本側参加者からの質問・伝えたいこと
《質問と回答》

(質問1)今日見学した企業のアブラヤシ農園は前回(2015年)の火災で燃えなかったのか?

(回答1)村の隣のアブラヤシ農園は燃えたが、今日見学した農園は燃えなかった。しかし、火災の影響で葉が痛んだりして20%くらい収穫量が減少した。火災が止められなかったのは、泥炭地だったから。火の元を突き止めるのは難しい。プランテーションで火災が起きると、消火の仕事が生まれるので、農園で働いている人が放火した可能性もある。

(質問2)道に落ちていた発泡スチロールのゴミは何か?

(回答2)つばめハウスの建設時に使ったものではないか。

(質問3)アブラヤシ農園での仕事をもう少し詳しく教えて欲しい。

(回答3)普段している仕事には以下のような種類がある。最も苦しく大変な仕事は収穫係である。

①葉を落として房状の実を落とし、収穫して道路脇まで運ぶ仕事(収穫係) ②こぼれ落ちた実を拾う仕事(主に女性の仕事) ③実をトラックの荷台に運ぶ仕事 ④アブラヤシに肥料をあげる仕事 ⑤農園を清掃する仕事 ⑥こぼれ実を入れる袋を回収する仕事

(質問4)除草剤の散布はどのタイミングでおこなうのか。

(回答4)特に決まっていない。モニタリング係がいるので、雑草がはえたらまく。

(質問5)農園で労働することでの収入はどれくらいか。以前の仕事との差はどうか。

(回答5)特に収入が上がったとは感じないが、他の選択肢があまりない(イラさん)。

以前は村人のほとんどが違法伐採をしていたが、その時の月収は今より多かったこともあるが、今は毎月の収入が安定しているので見通しが立ってよい(フルカンさん)。

(質問6)今日見学した農園の面積は?

(回答6)昔GPSで計測をしたら12,000haほどだった。

(質問7)農園の土地は、元々どのような土地だったのか。

(回答7)以前は森だった。2008年にできてから、水路による排水などで乾燥化が進み、毎年のように火災が起きている。2015年の火災では消火用水として使っていた水源も枯れてしまった。

(質問8)労働時間はどれくらいか。また、農園全体で何人くらい働いているのか。

(回答8)朝5時半に職場に着く。昼1時半に終わる。農園全体で1000人くらいではないか。

(質問9)除草剤や農薬の散布で気分が悪くなった話を聞いたが?

(回答9)フルカンさんはマスクをせずに農薬を散布して気絶しかけた。マスクとゴーグルが推奨されていたが、企業からは配られていなかった。今は配布されてるが、必ずしもみんなが使っているわけではない。

 

《伝えたいこと》

1.アブラヤシの実を落とす時に散乱すると拾うのが大変だから、落ちないように工夫したらいいと思った。

2.アブラヤシ農園はアブラヤシしかなくて寂しいというかつまらない。虫などの生き物がいない。

3.アブラヤシについてたくさん知れてよかった。カタツムリは多いようなのでエスカルゴにしたらどうか…

4.アブラヤシが便利で効率的だという意見もある。すでにある農園で効率化や品種改良を進めて、今後は農園を拡大せずにやっていったらいいだろう。

5.タバコのポイ捨ては危ないのではないか。

→たばこの火が火災の原因になることはないという研究もある(バガスさんが反論)

 

  • 森林火災について、日本側参加者からの質問・伝えたいこと
《質問と回答》

(質問1)2015年の火事の範囲はどれくらいだったのか。

(回答1)インドネシア全体で210万ha(東京都10個分)。国立公園も4分の1(12~13万ha)が燃えた。

(質問2)火災の跡地は農地などにも使えると思うが、なぜ森林に戻そうとしているのか。

(回答2)国立公園内は元の植生に戻さなければならないので、在来種しか植えてはいけない。公園外では農地にしている例もある。FNPFではなるべく元の状態に戻すという理念で在来種を中心に植えている。外来種の果樹も植えられるし農地にしてもよいが、その場合も周囲に木を植えるなどしている。

(質問3)火災で森林を失った時の心境はどのようなものであったか。

(回答3)まずは森がなくなって悲しかった。そのあと怒りが込み上げてきた。

(質問4)失われた森林はそのままにしておいても再生するのか。

(回答4)土地によるので一概に言えない。生えてくる場所もあるが、パイオニア種などの特定の種しか生えてこない場合もある。泥炭火災では木の根が燃えてしまうのでその木は再生しない可能性が高い。

(質問5)火災の前にはどのような動物がいたのか。

(回答5)火災前にいた動物の9割がいなくなった。火災前にはオランウータンやギボン、テングザルやサイチョウなどもいた。ギボンやサイチョウは、声は聞こえるが姿が見えない。

(質問6)このペースで植林を続けて、どれくらいで森が戻ると考えているのか。

(回答6)今後火災が起こらなければ15年くらいだろう。

《伝えたいこと》

1.開拓の時に火をつけるのは森林火災の原因となり、二酸化炭素を排出するのでやめた方がよい。

2.タバコのポイ捨てはやめた方がいい。

3.火災の悲惨さがわかった。火災の跡地では植生が単調だった。

 

 

〇森林火災跡地の泥炭湿地林での在来樹種の植林作業~泥炭湿地林の保全について作業を通して考える~

 

焼け焦げた倒木や立ち枯れた木々が、ここがまさに数年前に森林火災のあった現場であることを物語っていた。雨季の泥炭湿地は、想像以上の深いぬかるみで、苗やスコップを持って植林場所まで行くことさえ一苦労であった。足元が不安定なことに加え、無数のハキリアリがするどいあごでかみついてくるため、痛みがひっきりなしに襲ってくる。首や腕、腹や背中など、服の中にまで侵入してくるアリと格闘しながら、先に進むこともままならない。

火災後に不法に植えられた若いアブラヤシはまだ人間の背丈を少し超えるくらいであったが、それを抜くのは大変な作業であった。そしてその周辺に穴を掘り、しみだしてくる水をかき出しながら在来種や果樹など、一人ひとり異なる多様な種類の苗を植える。傍に自分の名前と樹木の名前を書いたプレートを立てた。実際には1本の苗を植えるのが精いっぱいであった。

植林後は、かつて植林をしたという場所で、苗を覆い隠さんばかりに生い茂った雑草を刈る作業をおこなった。最初は鎌の使い方もわからない参加者たちであったが、慣れていくうちに皆手際がよくなり、懸命に作業をおこなっていた。植林は「植えたら終わり」ではなく、苗が順調に成長できるよう継続した世話が必要なことを知った。

熱帯の高温・多湿の気候のもと、植林作業を体験することでそれが重労働であることを知った。「木を植える」「森を再生させる」と口で言うのは簡単であるが、実現するのはどれだけ大変なことなのかを実感する活動であった。

 

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