ボルネオとは、日本の約2倍もの面積をもつ、世界で三番目に大きな島。マレーシア・インドネシア・ブルネイの三国の領土になっています。数多くの先住民が暮らし、生物多様性の宝庫である熱帯雨林が広がりますが、近年、この熱帯雨林は人の手によって失われつつあります。その理由となるものが「パーム油」です。
パーム油とは、アブラヤシの実からとれる植物油です。安く、大量に収穫ができるうえ、食品の加工に使い勝手がよいため、急速に生産量が増えています。マレーシア・インドネシアの二国が生産の多くを担い、世界全体の約85%をも占めています。ボルネオでも、多くのパーム油が生産されています。
耳馴染みのない油ですが、その実、2005年には大豆油を抜いて植物油のなかで生産量第一位になりました。カップラーメンやポテトチップス、チョコレートなど私達に身近な食品によく使われていますが、パッケージには「植物油脂」としか表示されず、周知が進みません。
アブラヤシ農園の拡大に伴い、ボルネオの熱帯雨林は50年間で約50%も減少してしまいました。森が狭くなったことによって、動物たちの住処が失われる問題が起こっています。ボルネオにのみ生息する貴重な動物が多く危機にさらされています。
追いやられる動物がいる一方で、パーム油による収入がマレーシア・インドネシアの経済を支え、多くの雇用を生み出していることも事実です。私たち消費者の生活も、知らず知らずのうちにパーム油によって支えられています。今あるアブラヤシ農園をこれ以上拡げず、持続可能な社会を考え訴えていくことが重要です。