恩返しシンポジウム

恩返しシンポジウム 報告

概要

・開催日時:2017年 7月30日 14:00〜17:30

・場所  :都立新宿山吹高等学校 大講義室

・参加人数:113名

 

企画動機

2016年12月末にBCTJ主催「中高生対象ボルネオスタディーツアー」に参加して、現地の熱帯雨林に広がる生物多様性を実感しました。一方で、アブラヤシプランテーションの開発などによって熱帯雨林の減少が進み、生物多様性に危機が迫っているということを学び、大きな危機感が生まれました。

ツアーの行程で保護施設に行く機会があり、そこで保護されているボルネオゾウのヤピ君を見ました。彼は幼い頃に群れでプランテーションに入り込み、(プランテーションの)管理者に目の前で母親を殺された結果、PTSD(心的外傷ストレス)になっていることをガイドの方から教えて頂きました。私たちが利用しているパーム油によって、ヤピ君のような動物たちが苦しんでいます。

ゾウだけでなく、森に棲んでいた多くの昆虫やオランウータンなどの動物たちが同じような目にあっています。また、保護されたゾウ達の野生復帰は難しい上、ゾウの餌代も多くかかってしまい、私たちが見学した保護施設の経営は赤字ということでした。

私たちはこのような現状が未だ多くの人たちに知られていないことについて大きな危機感を持っています。そこで、日本の人にこの現状を伝えたいと強く感じています。そして、日本に住む私たちができることとして、BCTJのボルネオへの恩返しプロジェクトに寄付をして、保護されているゾウ達の野生復帰や環境エンリッチメントの向上に役立てたいと思っています。

以上が、本シンポジウムを企画した動機です。

 

プログラムと内容

 

・プログラム

第1部 動機説明

①熱帯雨林の素晴らしさ(新宿山吹高校2年 布施亜咲実・海城高等学校1年 三浦健太郎)

②アブラヤシプランテーションの問題(海城高等学校1年 黒田峻平)

③現地の人々の暮らし(新宿山吹高校2年 浅井那月・海城高等学校2年 田淵麻紘)

④私たちにできる行動とは(新宿山吹高校2年 渡邊和花)

 

第2部 基調講演

旭山動物園のボルネオへの恩返し〜今は未来の為に〜(旭山動物園園長・BCTJ理事 坂東元)

 

第3部 パネルディスカッション

「私たちにできる行動とは?」 ファシリテーター:海城高校 黒田峻平

登壇者

・旭山動物園園長・BCTJ理事 坂東元氏

・SARAYA取締役・コミュニケーション本部部長・コンシューマー事業本部副本部長・BCTJ理事 代島裕世氏

・BCTJ事務局長・理事 青木崇史氏

 

 

・内容

第1部 動機説明

・「①熱帯雨林の素晴らしさ」

現地で観察することができたウツボカヅラなどの植物や、現地の樹木に見られる「板根」と呼ばれる特徴、ライトトラップで観察することができたモーレンカンプオオカブトなどの虫、川で採集することができた魚類を紹介し、現地の熱帯雨林が持つ生物多様性の素晴らしさを肌で実感したという報告をしました。

 

・「②アブラヤシプランテーションの問題」

ボルネオの熱帯雨林がアブラヤシプランテーションの開発によって減少し現地の生物多様性に危機が迫っているという、ツアーから得た学びを発表しました。

 

・「③現地の人々の暮らし」

ツアーの行程にあったホームステイから見たマレーシアの文化(家族を大切にする、シャワーは冷たいが人々は温かい…etc)や、ツアーで頂く事ができた食事を紹介しました。

 

・「④私たちにできる行動とは?」

ツアー終了後に渡航者が行った様々な「行動」を紹介し、本シンポジウムも「行動」の一環であることを示しました。本シンポジウム以外には「家族・友人へ問題を伝える」「雑誌への寄稿」などといった行動が紹介されました。

 

第2部 基調講演

坂東園長が持つ動物観(動物との関わり方)がとてもよくわかる基調講演でした。

講演の中で坂東園長は、あるべきヒトと生物のかかわり方は「共存」だとおっしゃっていました。

これは「かわいい」や「かわいそう」といった感情ではなく、「共」に「在」ると書くように、お互いにお互いの存在を認め合う事を指します。これについて、知床のシカの例を挙げてこう説明していました。

 

「知床が世界自然遺産に登録された結果、ヒトがシカに優しくなり餌付けをするようになった。これは共存ではありません。『かわいい』や『かわいそう』だけでは共存できないんです」

 

私たちにとっては非常に腑に落ちる説明でした。ボルネオへ渡航し「ヒトのためのプランテーション開発によって熱帯雨林が減少している」という事実を知ってからというもの、私(私以外の生徒もおそらく)はヒトと野生生物の関係について考えるようになりました。

熱帯雨林を開発してパーム油という形で恩恵を受けているヒトとして、野生生物とどう向き合えばいいのか。この疑問に対する答えの1つが「共存」なのだと思います。

例えば、この考え方を熱帯雨林の開発という問題に当てはめてみると、開発が野生生物の存在を脅かすようでは、ヒトが野生生物の存在を認めていることになりませんから「共存」していることになりません(逆に、開発が野生生物の存在を脅かさない範囲では認められる、ということにもなるでしょうか)。ゆえに、過度な熱帯雨林開発は認められない…というように、「共存」というキーワードを用いてプランテーション開発を過度にしてはいけないということの説明ができます。「共存」は私にとって新しい1つの視点となり、大変勉強になりました。

 

第3部 パネルディスカッション

パネルディスカッションは、講師の坂東園長に加えてSARAYA取締役・BCTJ理事の代島裕世さん、BCTJ事務局長・理事である青木崇史さんにご登壇頂き、私黒田がファシリテーターを務める形で実施されました(初めてのファシリテーターで、凄く緊張したのを覚えています…)。

登壇者の方と議論できた40分は本当に濃密な時間でした。ここではディスカッションから得られ、現在の活動にも繋がっている学びを2つ紹介しようと思います。

 

  • ボルネオのような問題は、環境にそこそこ興味のある人から「伝える」方が効果的!

アート・デザインの力シンポジウムサステナブル・ラベルシンポジウム

私たちSGBCはボルネオの熱帯雨林が減少しているという問題を普及させる活動、すなわち「伝える」活動をしています(クラスや文化祭での発表、シンポジウムの開催など)。そこから感じた課題として「中々興味を持ってくれない人がいる」という点が挙げられます。そこでBCTJで環境教育活動もされている青木さんに「より効率的に伝えるにはどうすればいいでしょうか?」という質問をしたところ、得られたのが上記の回答です。

目から鱗が落ちる言葉でした。伝わらない人に対する伝え方を考える前に、伝わりそうな人に伝える方が先なのか…と、すっと納得したのを覚えています。

しかし、伝わらない人に対する伝え方も考えたい…!という想いもありました。そこで生まれたのがアート・デザインの力シンポジウムです。

そして、伝わる人(失礼な言い方かもしれませんが)にもっとこの問題を知って欲しい…!という想いが生まれ、企画されたのがサステナブル・ラベルシンポジウムです。

 

②消費は企業への投票!

サステナブル・ラベルシンポジウム企業への取材活動

私たちができる行動として「自分の消費を見直す」という方法があります。「消費は企業への投票」という考え方は代島さんから紹介されたものであり、「モノを買うという行為はその企業を応援することになり、即ちそれが企業への投票のようになる」という考えです。

この考え方をボルネオの事例に当てはめると、パーム油を避けている企業の商品を買う・RSPO認証を付けている商品を買う、といった形になるでしょうか。「自分の消費を見直す」という行動には熱帯雨林の持続可能性に対してだけではなく企業に対する行動、という側面もあるのだなと、また1つ視点を増やすことができました。

これを受け、「投票したいと思える企業を増やしたい・『消費は企業への投票』という考え方を多くの消費者に持って欲しい」という気持ちが生まれ、①と同様にサステナブル・ラベルシンポジウムの企画に繋がりました。そして「投票する企業のことをもっと知りたい」という気持ちが企業への取材活動へと繋がっています。

 

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